住宅ローンといった債務の清算に役立つのが、任意売却です。これから任意売却しようと思っている人のなかには「親子間で任意売却を検討している」と思っている人がいるかもしれません。そこで今回は、親子間でも任意売却ができるのかどうかについて、メリットや売却を進めていくなかでの注意点などと一緒に解説します。
任意売却は親子間でも可能!
任意売却とは、住宅ローンを滞納している、またはローン残高が売却金額を上回っている状況で、住宅を売却する制度を指します。売却するためには債権者(金融機関)の同意を得なければいけません。任意売却によって競売の実行を止めたり、リースバックでそのまま住み続けたりできるメリットがあります。
結論を述べると、任意売却は親子間でも可能です。住宅ローンや債権者などが絡むため、任意売却には特別にルールがあると思っている人がいるかもしれません。しかし、親子間で売却できないといったルールがとくにないため、実際には親子間での売却ができます。
親子間で任意売却を進めるメリット
まったく知らない他者とではなく、親子間で任意売却を進めるメリットはいくつかあります。代表的なメリットを5つみていきましょう。
遠慮せずに話を進められる
親子間での任意売却には、遠慮せずに話を進められるメリットがあります。たとえば、知らない相手とやり取りをする場合、お互いに遠慮の気持ちが生まれてしまいます。
聞きたいことを聞けなかったり、言いたいことを言えなかったりと、それぞれが思っている本音をうまく伝えられない可能性があるでしょう。しかし、親子間なら遠慮をする必要がありません。お互いの要望を本音で言い合えるため、話しがスムーズに進みます。
同じ住宅に住み続けられる
売却後も、同じ住宅に住み続けられる可能性が高まります。買主は親、または子どものため、相手側に事情を配慮してもらえるでしょう。たとえば、親が子どもから住宅を買い取った場合、買い取った住宅に子どもを住まわせるのは自由です。
知らない相手へ住宅が渡らない
住み慣れた住宅に愛着があればあるほど、売却しなければいけないのは心が痛むものです。とくに、まったく知らない相手で住宅を売却するのは、断腸の思いでしょう。しかし、一般的に親子間は気心が知れた仲です。まったく知らない相手へ売却するよりも、心理的抵抗は少なく済みます。
親や子どもの住宅ローンを返済できる
売主側となる親や子どもが住宅ローンで苦しんでいる場合、親子間の任意売却によって相手の住宅ローンを返済できます。住宅ローンや他の債務の差押えで苦しんでいる場合に、助ける意味で利用することも多いようです。
周囲に知られにくい
最後のメリットは、任意売却した旨を周囲に知られにくいことです。たとえば、第三者へ住宅を売却する場合、任意売却の旨を誰かに話してしまうかもしれません。一方で親子間の場合は、親や子どもが知られたくないと思っていることを、あえて周囲にもらすことはないでしょう。
親子間で任意売却で注意したいこと
親子間の任意売却には上記で紹介したようなメリットがありますが、一方では注意したいことがいくつかあります。トラブルを避けるため、必ず確認しておきましょう。
価格によっては贈与と見なされる可能性がある
親や子どもが抱える住宅ローン返済を助けたい気持ちから、相場よりも安い金額で購入しようと思っている人がいるかもしれません。相場よりもかなり安い金額で購入すると、税務署から贈与と見なされる可能性がある点に注意が必要です。贈与の場合、市場価格との差額分に贈与税がかかります。
住宅ローンを利用しにくい
住宅ローンを利用しにくい点にも注意してください。金融機関の中には、親子間での任意売却を債務の置き換えや、借金を移しただけと考えるところがあります。たとえ資金力が十分にあったとしても、住宅ローンを断られる可能性があります。
任意売却に精通した会社のサポートを受ける
上記で解説したように、親子間での任意売却にはいくつかの注意点があります。適切な売買契約書の作成や売却における適正額の把握など、素人でも難しい点がいくつかあります。親子間で任意売却をする際は、任意売却に精通した会社のサポートを受けるのが安心です。
専門的な知識と豊富な経験を活用して、一人ひとりに合った売却をサポートしてくれます。会社によってサポート内容や特徴が異なるため、気になったところを比較・検討してみましょう。
まとめ
住宅ローンの返済などを目的とした任意売却は、親子間でも可能です。第三者への売却と比べて「遠慮せずに話を進められる」「同じ住宅に住み続けられる」「知らない相手へ住宅が渡らない」といったメリットを感じられるでしょう。
ただし、相場よりも低い金額で買い取った場合は、税務署から贈与と見なされる可能性があります。また住宅ローンを利用しにくい点にも注意が必要です。親子間で任意売却を進めるときは、任意売却に精通した会社のサポートを利用するほうがよいでしょう。
専門的な観点からアドバイスやサポートしてもらえるため、初めての人も気兼ねなく利用できます。